研究内容

 電子の内部自由度であるスピンのダイナミクスを利用した新しい現象を探索し、これを応用したデバイスやセンサーを実現することを目指しています。そのための基礎となるスピンダイナミクスの高感度センシングと高分解能イメージングの計測技術を重視して研究に取り組んでいます。

 特に、最近ではダイヤモンド中のNV中心を利用した、スピンセンシング・イメージング走査プローブの開発を進めています。このスピンプローブが実現すれば、単一電子スピン、単一核スピンの計測・イメージングをすることも夢ではありません。この新しいツールを完成し、スピントロニクスや量子物性分野の新しい現象をナノスケールで開拓していきます。

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研究室紹介 JAIST NOW 017 AN
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Diamond NV center Spin Probe

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig. 1, Spins in electron and nuclei, spin resonance and spin current

(1) Nanoscale magnetic field sensing using nitrogen-vacancy center in diamond
Recently, nitrogen vacancy center (NV center) in diamond crystal is attracting much attention for utilizing it as a spin sensor (Fig. 2), since spin state existing in a combination of a carbon defect and nitrogen in diamond named as nitrogen-vacancy center (NV center) was demonstrated to be detected through fluorescence measurement (Gruber and Wrachtup, et al., Science, 276, 2012 (1997)). Interestingly, this optically detected magnetic resonance (ODMR) can be used for sensing spins existing around (Fig. 3). Especially, making a NV center as a scanning spin imaging probe (Fig. 4).

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig. 2, NV center in diamond, and its magnetic resonance signal

(2) Long-distance excitation of NV center via surface spin waves
We succeeded to excite NV center by spin waves; collective emotion of spins excited from 3.6 millimeter distance [1]. This will be new system to study interactions of spins.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig. 3, spin conversion from spin wave to NV center

(3) Development of scanning NV center spin sensing probe

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fig. 4, scanning NV center spin sensing probe combined with AFM

 

スピンダイナミクスイメージング(ダイヤモンドスピンセンサーによる)

 ダイヤモンド中の窒素-空孔複合体中心(NV中心)に存在する単一スピンは、高性能なスピンセンサーとして有用であることが判ってきました(上図)。このNV中心を走査プローブとした高感度・高分解能スピンセンサーを開発し、単一電子スピン、単一核スピンのダイナミクスのセンシングを目指しています。

NV中心スピンプローブはスピントロニクス、量子情報分野への応用も注目されています。

Interaction of Spin and Heat

 

 

 

 

 

図1, スピン波熱移送効果, スピンの集団励起の波であるスピン波を用いてエネルギーを空間的に移送して熱に変換できることを示した。

T. An, et al.: Nature Materials, 12, 549-553 (2013)

 

スピンと熱の相互作用

 近年、熱によりスピンを制御することや、その逆の効果である、スピンにより熱を制御することが可能なことが判ってきました(図1)。材料探索と高感度な熱・スピン計測技術を用いて、スピンと熱の相互作用に基づく新しい現象を開拓することを目指します。

Scanning Microwave Microscopy

 

 

 

 

 

 

図2, 走査マイクロ波顕微鏡によるスピン波イメージング, マイクロ波プローブを用いて磁性体ディスク上でスピン波を励起・計測し、異なるスピン波モード分布をイメージングした。

T. An, et al.: IEEE Magn. Lett. 1, 3500104 (2010)

 

スピンダイナミクスイメージング(走査マイクロ波顕微鏡による)

 ギガヘルツの周波数のマイクロ波を照射することにより磁性体やスピンのダイナミクス(歳差運動)を励起することができます。逆に、スピンダイナミクスは周囲にマイクロ波磁場を生成します。走査型の高周波プローブを用いてスピンのダイナミクスを励起・計測してスピンダイナミクスの空間分布をイメージングします。

ダイヤモンド中心を用いた磁性粒子からの漏洩磁場ベクトルイメージング